「日本版スチュワードシップ・コード」に対する当社の取組方針

当社は「責任ある機関投資家」の諸原則(日本版スチュワードシップ・コード)の趣旨に深く賛同し、受け入れることを表明します。当コードの原則1から7について、以下のような方針で取り組んでまいります。

原則1:機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

当社は、お客さまに最良のパフォーマンスを提供することを優先する運用会社としてスチュワードシップ責任を果たすために、投資先ファンドに対して、その投資先企業の経営状況を的確に把握し、運用戦略に応じたサステナビリティ(ESGを含む中長期的な持続可能性)の考慮に基づいた実効的な対話や議決権行使への取り組みを求めることで、中長期的な視点から投資先企業の企業価値の向上や持続的成長を促し、もって受益者の中長期的なリターンの向上を図ります。

原則2:機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

当社は、利益相反のおそれのある取引については、「利益相反管理方針」に基づき、管理します。 また、投資先ファンドを選定するにあたって、利益相反の可能性の観点も踏まえ、その運用会社の資本構成等にも留意し、お客さまに最良の投資成果を提供できると判断した場合に、投資を実行いたします。
また、投資先ファンドの運用会社において、利益相反の管理体制、議決権の適切な行使のための明確な方針が確立されていることを求めます。

原則3:機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。

当社は、投資先ファンドの選定にあたって、その運用会社が、投資先企業の業績や財務面の把握のみに留まらず、ガバナンス、資本構造、事業におけるリスク・収益機会等の非財務面も把握するように努めていること、また投資先企業の企業価値を減じるおそれのある事項を早期に把握できるよう、必要な体制を整えていることを求めます。

原則4:機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである。

当社は、投資先ファンドの運用会社が、中長期の視点から投資先企業の企業価値及び資本効率を高め、その持続的成長を促すことを目的とした対話を行う体制が整っていること、及び対話に関する方針を持っていることを求めます。

原則5:機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。

当社は、投資先ファンドの運用会社が、中期的な観点から投資先企業の企業価値の向上や持続的成長に資するための明確な議決権行使ガイドラインを定めていることを確認し、また定期的に、その議決権行使結果を確認いたします。又、外観的に利益相反が疑われる議案等、投資先企業との建設的な対話に資する観点から重要と判断される議案については、その理由の公表を求めます。

原則6:機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである。

当社は、投資先ファンドの運用会社のスチュワードシップ責任への取組み状況について、その考え方を定期的に確認するとともに、その確認内容について、ウェブサイト等で公表を行ってまいります。

原則7:機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。

当社は、社内の委員会等を通じて、投資先ファンドの運用状況についてその運用結果を詳細に検証するとともに、運用戦略に応じたサステナビリティの考慮状況などについて投資先ファンドの運用会社と十分な議論を行うことにより、運用会社のスチュワードシップの履行状況のモニタリングを行ってまいります。

当社のスチュワードシップ・コードの実施状況にかかる自己評価は、以下のとおりです。

スチュワードシップ・コードの実施状況にかかる自己評価(2022年10月~2023年9月)

利益相反管理方針

当社は、資産運用を託される者が負っているフィデューシャリー・デューティーを果たすため、お客さまのために誠実かつ公正に業務を遂行してまいります。

当社は、お客さまの利益より当社を含むお客さま以外の者の利益を優先させることによりお客さまの利益が不当に損なわれる事態を防止するため、以下の通り「利益相反管理方針」を定め、本方針に基づき独立の立場において利益相反のおそれのある取引等を適切に管理してまいります。

「利益相反のおそれのある取引等」 の定義について

当社は、投資信託を運用するにあたって、お客さまのために忠実に業務を遂行する義務を負っております。その義務を果たす中で、株主や取引先等との関係において、お客さま以外の利益を優先しようとする動機がある場合等に「利益相反のおそれのある取引等」が生じ得ます。

当社において具体的に発生しうる「利益相反のおそれのある取引等」とは、当社が運用する投資信託において、主として関係会社、主要取引先と行う取引または行為のうち、利害対立等の状況があり、その結果お客さまの利益が不当に害されるおそれがある取引または行為です。

通常、以下の類型があります。

「利益相反のおそれのある取引等」 の類型について

<投資する有価証券について>

  • 関係会社及び主要取引先(以下、関係会社等(注))の発行する有価証券を当社の設定する投資信託に組入れること

  • 関係会社等が引き受けた有価証券について、取得又は買い付けの申込が予定額に達しないと見込まれる状況下において、当該関係会社等の要請を受けて当該有価証券を組入れること

<発注について>

  • お客さまの運用資産の売買に係る情報を利用して、お客さま以外の利益を図ること

  • お客さまの運用資産の売買に際して、より有利な条件を提示しているブローカーへの発注を行わないこと

<商品組成について>

  • 合理性を欠く信託報酬等を徴収する等、お客さまの利益を不当に害することになる商品を組成すること

これらの例は、利益相反のおそれのある取引等を網羅するものではありません。

当社は運用にあたって、ファンド・オブ・ファンズ(以下、「FoFs」という)の形態を用いてお客さまからお預かりした資産の運用を行っており、以下の利益相反は発生しにくい状況にあります。

  • <投資する有価証券について>に係る利益相反
    (株式・債券の個別銘柄への直接投資は行っていないことから、関係会社等の利益を図る目的をもって特定の有価証券の取得を指図する行為等が発生しないため)

  • <発注について>に係る利益相反
    (ファンドの売買に伴うブローカーへの支払手数料等は発生していないため)

(注)関係会社等とは以下の会社をいいます。
日本郵政株式会社
株式会社ゆうちょ銀行
株式会社かんぽ生命
日本郵便株式会社
三井住友トラスト・ホールディングス株式会社
三井住友信託銀行株式会社
株式会社日本カストディ銀行
三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社
日興アセットマネジメント株式会社
野村ホールディングス株式会社
野村證券株式会社
野村アセットマネジメント株式会社
野村信託銀行株式会社

「利益相反のおそれのある取引等」への対処について

商品委員会による投資対象ファンドの選定

当社は、FoFsの形態によりお客さまよりお預かりした資産の運用を行います。従って、当社FoFsの投資対象となる投資信託の信託報酬は、間接的に当社の投資信託財産から支払われることとなりますので、お客さまと投資信託の運用会社との間に潜在的な利益相反関係が生じます。

当社は、お客さまの利益が利益相反関係により損なわれることの無い様に、FoFsの投資対象となる投資信託については、その運用の体制、運用経験、運用に係る費用等について、商品委員会において徹底的な議論を行い、お客さまの利益のために最良と思われる投資信託を選定しております。

上記の他、お客さまの利益と他のお客さまの利益が相反する事態またはお客さまの利益と自己の利益もしくは関係会社等の利益が相反する事態等が発生する場合は、利益相反管理規程に基づき、取引の中止、取引条件の変更、お客さまへの情報開示等により管理してまいります。

「利益相反のおそれのある取引等」 の管理体制について

利益相反管理部署の設置

利益相反を適切に管理するため、当社に利益相反管理に係る統括部署(業務部)及び利益相反管理責任者を設置し、当社の利益相反管理体制の整備、およびその有効性について定期的に適切な検証を行い、継続的に改善を図るとともに、役員・社員に対する教育・研修を定期的に実施し、利益相反のおそれのある取引等の管理について周知徹底いたします。

内部監査部門による検証

当社の内部監査部門は、利益相反が適切に管理されているか、検証を行っております。

取締役会による業務執行の監督

当社の取締役会は、お客さまの利益が不当に害されないよう当社の管理体制を整備し、コンプライアンス・プログラムによる報告を受けております。

以上

議決権行使ガイドライン

議決権の行使に関する基本姿勢

当社は議決権行使について、スチュワードシップ活動における重要な位置を占めるものと認識しております。

投資先企業の状況を把握し当該企業との対話の内容等を踏まえるとともに、質の高い企業統治のもとで取締役会の機能が十分に発揮され、また登用人材の多様性の実現や環境・社会に配慮した企業活動が遂行されることを後押しするために、議案に対する賛否を適切に判断し議決権行使を行うことで、投資先企業の企業価値の向上や持続的成長を促し、受益者の中長期的なリターンの拡大を図ることができると考えております。そのため、各議案に対する議決権行使の考え方、及び行使基準を以下のように定めます。

ただし、当社が運用する投資信託は、現在ファンド・オブ・ファンズのみであることを勘案し、当社は投資対象ファンドの選定にあたっては、以下判断基準の趣旨に沿う運用会社を選定するものとします。具体的な議決権行使の判断は、原則として各運用会社が行うものとします。

なお、外国株式の議決権行使については、運用会社に対し、各国の制度・実情等を踏まえて適切に対応することを求めます。

1.取締役会の構成、監査役の選任について

<議案に対する基本的な考え方>

取締役会は、企業経営における重要な意思決定を行い、経営執行を監督する機関として十分機能するよう構成され、運営されるべきと考えます。

取締役会の規模は、企業の経営戦略に関する意思決定が効果的かつ効率的に行われる人数に維持されるべきであり、取締役の中には当該企業と独立した立場にある社外取締役が、会社規模等に応じて含まれていることが望ましいと考えます。

なお、取締役の増員の場合には、具体的な説明を行うことが望ましいと考えます。

監査役(会)については、株主に代わって取締役の業務を監査することのできる適切な機能を持つことが必要であり、その規模は、経営に対する監視が十分に行き届く人数を維持すべきだと考えます。

<個別議案に対する行使基準>

1-1.取締役の選任
取締役の選任については、原則として賛成する。ただし、重大な不祥事に関与した者若しくはそれに関して監督責任があると判断される者、その他株主利益の最大化を実現する能力がないと判断される場合や株主価値を実質的に毀損したと判断されるような場合、その選任に反対する。
1-2.社外取締役の選任
社外取締役の選任については、原則として賛成する。ただし、独立性が高いと判断できない者や明らかに一般株主と利益相反が生じるおそれがある者は、その選任に反対する。
1-3.監査役の選任
監査役の選任については、原則として賛成する。ただし、重大な不祥事に関与した者若しくはそれに関して監督責任があると判断される者は、その選任に反対する。
1-4.社外監査役の選任
社外監査役の選任については、原則として賛成する。ただし、独立性が高いと判断できない者や明らかに一般株主と利益相反が生じるおそれがある者は、その選任に反対する。

2.役員に対する報酬等について

<議案に対する基本的な考え方>

役員報酬・賞与については、中長期的な業績と整合性のある水準であることを肯定的に判断します。また、会社の株主価値を大きく毀損する行為が認められる場合や会社の財務状況及び社会的合理性の観点から不適切に過大な金額であるような場合には、原則として反対します。

<個別議案に対する行使基準>

2-1.役員報酬等
役員報酬等については、原則として賛成する。ただし、当該企業の業績が低迷している場合の増額や、社会的常識を明らかに逸脱する場合等は、原則として反対する。
2-2.役員退職慰労金
役員退職慰労金について、株主価値を大きく毀損する行為に関係し、若しくは責任を有する役員への支給や、当該企業の業績が低迷している場合の支給には、原則として反対する。また、社外取締役や社外監査役など、経営を監視すべき立場にある者に対する支給には、原則として反対する。

3.剰余金処分等について

<議案に対する基本的な考え方>

企業は、財務状況や長期的な事業計画、資本政策とのバランスを考慮し、株主に対する利益配分を行うべきであると考えます。

また金銭配当に加え、自社株取得についても、株主利益を高める上で有効な手段であると考えます。

<個別議案に対する行使基準>

3-1.剰余金処分
剰余金処分については、企業の財務状態、経営戦略を踏まえた上で個別に判断する。企業が長期的な株主価値の拡大を追求するために内部留保を行う場合には、十分な説明がなされているか、配当とのバランスを欠いていないか、資本効率性の観点から過剰ではないか等、株主価値を重視する観点で行われているかを個別に判断する。株主還元が著しく不十分であると判断される場合、中長期的に株主価値を毀損すると判断される場合等は、原則として反対する。
3-2.自社株取得
自社株式の取得には、資本構成上不適切と判断される場合や、特定の株主の利益を図り、一般株主の利益が侵害されるおそれがある場合を除き、原則として賛成する。

4.合併・買収・会社分割等

<議案に対する考え方>

合併・買収・会社分割等の組織再編に関しては、中長期的な企業価値の向上に資するものでなければならず、妥当性について十分な客観的評価が提示されるべきと考えます。

  • 議案については、中期的な企業価値の向上に資するかを基準として個別に判断する。

  • 組織再編等の目的、具体的な内容、評価の妥当性について、客観的な情報が十分に提示されていない場合には原則として反対する。

5.買収防衛策

<議案に対する考え方>

買収防衛策は、中長期的な株主価値の向上に資するものであるべきであり、その合理性について十分に説明責任が果たされるべきと考えます。

  • 独立性の高いガバナンス形態が保持されている体制化の下で決定されたものであること

  • 企業の長期安定的な収益に資するものであること

上記について十分に説明されている場合を除き、原則として反対とする。

6.株主提案

株主提案については、中長期的な株主価値の向上につながるものであるかを個別に検討の上、賛否を決定する。

7.定款変更

<議案に対する考え方>

定款変更については、中長期的な株主価値の向上に資するべきものであり、その変更の合理性について十分に説明責任が果たされるべきと考えます。

  • 定款変更については、個別に検討の上、賛否を決定する。

8.その他

その他の事項に関しては、個別に内容を検討の上、判断する。